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イタイ愛

Ravel: L'Enfant et les Sortileges; Ma Mere l'Oye

ラヴェル「子供と魔法」、「ラ・メール・ロア」

サイモン・ラトル指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団

EMI Classics
2008年録音

Ravel:
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 あー、どうしよう?

 殺してしまった。綿雲を見ながら歩いていたら、地面で、一列に並んで食べ物を運んでいるアリを踏んづけて殺してしまった。昨日は道沿い壁の上を歩いている猫にちょっかいを出していたら、道路で、池に向かって元気にピョンピョンと跳ねているカエルを踏んづけて殺してしまったばかりだというのに。一週間前なんて、突然、薮から出て来たヘビを思わず踏んづけて殺してしまった。なんて僕は罪深い人間なんだ。僕は家の外に出ては、生き物を殺しまくっている。もう僕は家の外に出ない。決めたんだ。

 待てよ? 家の中にも生き物はいるよな。ゴキブリなんて定食屋さんの中で飛ぶ、”いつもの”って言葉が聞こえてきそうなほど常連だ。人間に悪い事ばかりしているゴキブリぐらいなら殺しても良いかな? 新聞紙を丸めて叩けば簡単だ。いや、ダメだ。ゴキブリだって一生懸命に生きていることに違いがない。あー、困った。そう言えば布団の中にはダニがいるんだった。身体が痒くなるからって布団を干したらダニが死んでしまうぞ。うわっ。そんなこと言ってたら、手にはバイキンが沢山いるじゃないか。食事の前に手を洗ったらバイキンの大量虐殺になる。

 あー、僕は生きているだけで生き物を殺してしまう。生き物を殺さないためには、僕が死ぬしかないのか? でも、きっと、それは違うな。だって、僕がいるから生きている生き物だっているに違いない。世界中の生き物が、戦ったり助けたりして繋がっているんだったよな? あっ、もしかして、どこにいようと、なにをしていようと、僕らは生きているだけで世界と繋がっているのか? 僕らは世界を変えているんじゃないのか? これって、凄いことなんじゃないのか?

 はぁーっ、だからどうしたって言うんだ。結局、人間は生き物を殺さずに生きられない。やーめた。普通に生きれば良いんだよ。ん? 普通ってなんだ?今度は普通が分からない。

あー、なんて僕はメンドクサイ人間なんだ!

「色々言っているけど、君の言ってる事って、普通だよ。君は普通の人間さ。君の苦しみを笑う人間より、普通じゃないけどね」

 あれっ? 鉛筆削りが喋った。そうか、君たちもいたね。

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