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死者:ここが三途の川なんだ。不思議な所だな。さて、これから俺はどうなるんだろう?
閻魔と天女:いらっしゃいませー!
死者:うわっ。、出たな、魑魅魍魎!
閻魔:魑魅魍魎じゃないんだえんま。オイラは閻魔なんだえんま。もうガッカリなんだえんま。
死者:エンマ?
天女:あんらー。彼ってば、見がけによらずナイーブなんよー。謝らねばなんねーね。
死者:うわっ。こっちは、すげー美人だ。誰?
天女:見だらわがっぺ。わだすは天女。このうづぐしー姿ば見れ。ほれっ、見れってば。
死者:テンニョ? あれっ、もう一人いるね。君は?
証人:あっ、いやっ、私は名乗るような者ではありません。どうぞ、お気になさらず。
死者:女性? 大きな帽子をかぶっているから顔が良く分からん。
閻魔:これからオマエが、天国と地獄、どちらへ行くのか決めるんだえんま。
死者:なるほど。やっぱり、そういうシステムなんだ。
閻魔:地獄は辛いんだえんま。覚悟しろだえんま。
死者:だろうね。みんなそう言っている。
閻魔:みんな言ってるって、いつ情報が漏れたんだえんま?
死者:だいぶ前から人間界じゃ常識だよ。
閻魔:ガビーン。ほんの十万年前には人間は知らなかったんだえんま。
死者:もしかすると三途の川は類人猿の頃からあるのか?
天女:彼が閻魔ばやるのは久しぶりなの。なんか不祥事ば起こすど、やらされるんだわ。わだすが冥界に出張しでだ時だったなー。彼がわだすに惚れちまってよー。だども社内恋愛は禁止だべ。やっぱ見つかっちまうもんだなー。それで、こごさいんの。
死者:天女のお姉さんは?
天女:わだすがアシスタントをやるのは7度目だー。なにしろ、わだすはうづぐしーべー。言い寄って来る奴が多ぐでよー。ついフラフラーってなっちまうんだよなー。ついな。ついだど。
死者:確かに。胸の谷間なんてセクシー。目のやり場に困る。
天女:おめー、おっぱい好きけ? あ? じゃあ、しょうがねえ。ちょっくら人差し指ば、胸の谷間さ、突っ込んでみっか? 遠慮すんな。
死者:いいの?
閻魔:ダメダメ。真面目にやるんだえんま。みんな手を繋いで丸くなるんだえんま。
天女:なーに偉そうなことぶっこいてんだー。だども時間もねーし、やるか。
死者:やるかって何を?
天女:裁判みてーなもんだー。簡単だー。
死者:3人が手を繋いで俺を囲むの? 閻魔と天女と、誰だっけ?
閻魔:そろそろ名前を言うんだえんま。正直に言うんだえんま。
証人:いいえ、私は……証人とだけ……それだけで。
天女:証人だー。裁判に呼ばれんべ。生ぎでる時に、おめーを一番愛した人だー。血が繋がってたらダメだー。こごまで来るの大変なんだど。感謝しろー。
死者:えっ? 俺、結婚しているんだよ。俺の奥さんは?
天女:人生はそったらもんだべ。気にすんなー。
閻魔:証人がいるだけでも幸せなんだえんま。誰もいない時だってあるんだえんま。
天女:あれは寂しいーなー。即、地獄行きだかんな。
死者:君は誰? どこかで会った? 帽子を脱いでくれない。
証人:私です。覚えていませんか?
死者:わーっ、なんで君が?
天女:女の誰もが忘れっちまうと思うなよ。ほとんどの女は忘れっちまうけどな。
閻魔:オマエ、歌は知ってるのかだえんま。
死者:だんだん、”だえんま”が無理矢理になってるよ。何の歌?
天女:バカこけ。かごめかごめに決まってんべ。
閻魔:ヘーン。これは人間界に情報が漏れてないんだえんま。
死者:かごめかごめは知ってるけど、なぜにかごめかごめ?
天女:おめーなー。大人の事情ってもんがあるのしってっぺ。細かいこと気にすんなー。立派な人間にはなれねーぞ。
死者:もう死んでるんですけど?
閻魔:さあ、オマエは目を閉じて座るんだえんま。
死者:ああ、もう分からない事だらけだ。
天女:つべこべ言わずに、ほれっ、歌うべ。せーの。
一同:かごめかごめ、籠の中の鳥は、いついつ出やる、夜明けの晩に、鶴と亀が滑った、後ろの正面だあれ?
閻魔:終わったんだえんま。お疲れさまなんだえんま。
死者:そうなんだ。こういう事だったんだ!
天女:なーに寝ぼげだこど言ってんだー。もう時間がねえどー。彼女にお別れのチューでもぶっこめー。それども、わだすの撓わな胸でも揉んでぐが? おめー、おっぱい好きだべ。サービスだー。
死者:いいの?
閻魔:ダメダメ。ほらっ、彼女にお別れの挨拶をするんだえんま。
死者:あっ、あのー、嬉しいよ。来てくれてありがとう。本当にありがとう。
証人:えっ? そんな。ただ私はあなたが彼女に、今の奥さんに、夢中になっている姿が可笑しくて。本当にバカみたいで。あっ、ゴメンナサイ。だって、彼女から相手にされてもいないのに。かっこつけて。かっこ悪くて。だから…。
天女:おめーにもいるだど。夢中になってる男がよ。きづがねーだけだー。後ろの正面さ見でみるこった。心の目でな。お別れだー。ありがとうなー。わだすの事ば忘れんなー。ああ、覚えてらんねーシステムだった。
閻魔と天女:またのお越しをお待ちしておりまーす!
閻魔:あれっ? アイツもう天国へ昇ってるんだえんま。よっぽど嬉しかったんだえんま。
天女:そりゃそうだべ。男は単純だー。ほれっ、次のお客が待ってんど。
閻魔:どうでもいいけど、なんで、”堕閻魔”を言葉の後ろにつけないと話せないんだえんま。ぜんぜんウケてないんだえんま。
天女:決まりだからしかたねーべ。スベッてんのはお互い様だー。そったらこっては、いづまでたっても籠の中から出れねーぞ!
閻魔:天女ちゃん……スベッてないんだえんま。
天女:なぬ?
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