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ドングリ

Tchiakovsky: The Nutcracker [Complete Ballet] [Hybrid SACD]

チャイコフスキー「くるみ割り人形」

アレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮、ボリショイ歌劇場管弦楽団&少年少女合唱団

PentaTone Classics
2006年録音

Tchaikovsky: the Nutcracker - Bolshoi Theatre Children's Choir, Alexander Vedernikov & Bolshoi Theatre Orchestra
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 海が遠くに見えます。木にかこまれた家、ママはポケットから取り出したドングリをむすめのキララに見せます。

「ママからのおたんじょう日プレゼントだよ」

「わっ、なにこれ? こんなのより、クマさんのぬいぐるみがほしい」

「そうね。でもね。このドングリは幸せのタネなの。こうするの」

 ママはドングリからぼうしを取ります。そしてママは庭に出るとドングリを土の中にうめました。

「きっと、いいことがあるよ」

「すてきね。ありがとう、ママ!」

 その日の夜、キララはドングリのことを思い出しながらねむりました。

 キララはふしぎな世界にいました。ばら色のワンピースを着たキララのまわりは、雪げしきの野原ように真っ白です。まぶしくて遠くまで見えません。れんげ色のトナカイさんが、さくら色のレンガの道を歩いています。

「こんにちは、トナカイさん」

「モウ、こんにちは」

「ここはどこ?」

「知らないのかい? 地面につもった雪をなめてごらん」

「落ちている物を食べたらママにおこられちゃう」

「そうだね。じゃあ、ちょっとだけ、なめてごらん」

「うん。あっ、あまいよ!」

「雪はホイップクリームだよ。レンガはクッキーだよ。ぜんぶ食べられるよ。ここはおかしの国だよ。ぼくはワッフルだよ。じゃあね」

「ありがとう。さようなら」

 おなかがへっていたキララは、クッキーにホイップクリームをつけて、ムシャムシャ食べちゃいます。道は遠くの方までつづいていました。キララは歩き出します。

 空には、ひまわり色をしたキャンディーの太陽がキラキラと光っています。チョコレートのモミの木が並んだ森が見えてきました。すみれ色をしたマシュマロのフクロウさんが、木の上でいねむりをしています。

「こんにちは、フクロウさん」

「ホッホ、こんにちは」

「森には何があるの?」

「教えても良いが、どうしようかな」

「ケチ、教えてよ!」

「自分でさがす方が楽しいぞ。みんなそうするぞ」

「じゃあ、そうする。ありがとう。さようなら」

 キララは森の中に入ります。地面はサクサクしたフレークの上にパウダーシュガーがつもっています。森の広場では、たんぽぽ色をしたパンのリスさんが、ちょこまかと動き回わっていました。

「こんにちは、リスさん」

「キュウ、こんにちは」

「何をしているの?」

「さがし物だよ。君もさがしてくれる?」

「イヤよ。服がよごれちゃうもん」

「たから物だよ。持っていると、心が温かくなるんだよ。ちっちゃくてね。つるつるしてね。へんな形なの」

「じゃあ、さがすね」

 キララは、いしょうけんめいパウダーシュガーをかき分けて、たから物をさがします。

「見つからないね。顔が真っ白だね」

「もう、ぼく一人でさがすね。君は親切だから、もし、たから物を見つけたら、後であげるね」

「うん、ありがとう。さようなら」

 とんがりぼうしのたて物が、遠くの木の上に見えました。キララは歩き出します。

 森は行けども行けども同じけしきです。森は暗くなってきました。

「こわいよ。何も見つからないよ。どうしたらいいの?」

 キララは歩くのを止めてすわりました。木の間から明かりが見えます。キララは目をこらします。ホワイトチョコレートのすてきなおしろが見えます。

「なんだ。ぜんぶ白いから、見つからなかったんだ」

 キララは走ります。おしろの入り口には、白いらんの花のような服を着た、すてきな王子様が待っていました。

「こんにちは、王子様」

 キララはゆうがにおじぎをします。

「こんにちは、キララ。がんばったね。顔が真っ白だね。みんなが待っているよ。さあ、行こう」

 いつのまにかキララは、おっきいキレイなお姉さんになって、白いゆりの花のようなドレスを着ています。おしろの広間は、お花畑のような色とりどりの服を着た人たちでいっぱい。

「ようこそ、キララ!」

 みんなはキララのためにダンスをしてくれました。キララも王子様とダンスをしました。そこはゆめのように楽しい世界でした。

 キララは目をさまします。キララはクマさんのぬいぐるみをだきしめていました。ドングリがベッドの上に一つころがっています。

「あっ、もしかしてリスさん? おかしの国からとどけてくれたの? そうだ、これでおかしの国に行けるんじゃない? きっとそうよ。また王子様とダンスができる!」

 キララはドングリのぼうしを取ろうとします。だけどキララは取りませんでした。

「また、こんどね」

 海が遠くに見えます。木にかこまれた家で、キララは大人になりました。キララは、もうママです。葉っぱがそよ風にゆれてキラキラ光っています。一本の小さなカシの木の下、キララはポケットから取り出したドングリをむすめに見せます。

「ママからのおたんじょう日プレゼントだよ」

「わっ、なにこれ? こんなのより、クマさんのぬいぐるみがほしい」

「ふふっ。そうね。でもね。このドングリは幸せのタネなの。こうするの」

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